外国人の雇用12:「技術・人文知識・国際業務」ビザ・在留資格を取得する

 

 

単純労働を除くと、外国人を雇用する場合、その外国人に必要なビザ・在留資格は「技術・人文知識・国際業務」が大半を占めます。

 

ずいぶんと長い名前ですね。以前は、「技術」、「人文知識」、「国際業務」は別々のビザだったのですが、まずは「人文知識」と「国際業務」がくっついて「人文知識・国際業務」ビザになり、これに「技術」がくっついて「技術・人文知識・国際業務」になりました。

 

これは、たとえば技術職で就職しても、そのうち営業になったり、管理職になったりして、ずっと一種類のビザしか認められないと都合が悪いといった事情からそうなりました。

 

それでも最初に「技術・人文知識・国際業務」を取得するときは、「技術」なのか、「人文知識」なのか、それとも「国際業務」なのかを意識して申請する必要があります。

 

申請が許可されて就職した後に少しずつ仕事の内容が変わることは構わないということです。

 

基本的にオフィスワークしか認められません

 

「技術・人文知識・国際業務」でできる仕事というのは、以下のように整理することができます。

  • 技術:自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務
  • 人文知識:人文科学の分野に属する知識を必要とする業務
  • 国際業務:外国の文化に基礎を有する思考若しくは感受性を必要とする業務

 

つまり、「技術」はエンジニア、「人文知識」は営業やマーケティング、経理、法務、人事、総務といった仕事、「国際業務」は通訳、翻訳、語学指導、海外取引、デザイナーといった仕事になります。

 

基本的にオフィスワークしか認められませんが、通訳であれば、店舗や外での仕事も認められる場合があります。

 

大学等を卒業しているか、業務経験が必要

 

上記のような仕事であれば誰でも「技術・人文知識・国際業務」ビザがもらえるかというと、そういうことはありません。このビザをもらうためには、学歴または業務経験の要件を満たす必要があります。

 

学歴要件と実務経験要件の両方を満たす必要はなく、どちらかを満たせば大丈夫です。

 

学歴要件は、大学等で上記業務と関連のあることを学んで卒業していることとなります。「大学等」というのは、大学や大学院、短大、専門学校などが含まれます。それ以外にも大学校や高専なども大学等に含まれます。

 

また学校で勉強したことと業務の関連性については、大学(大学、大学院、短大)を卒業した場合は、おおまかにしか判断されませんが、専門学校が最終学歴の場合は、専門学校で学んだことと業務の内容が詳細に検討されます。

 

ちなみに専門学校というのは日本の専門学校に限られ、海外の専門学校や職業訓練学校などは、「大学等」に含まれません。

 

一方、実務経験ですが、「技術」、「人文知識」の業務については10年以上の実務経験が求められます。つまり、高卒の人が日本で経理の仕事をしたいと思ったら、経理の仕事で10年以上経験していることが求められ、ビザの申請に際して10年以上の実務経験を証明できる在職証明書の提出が必要です。

 

また、「国際業務」の業務については、3年以上の実務経験が求められますが、「国際業務」のうち、通訳、翻訳、語学指導については、大学を卒業していれば実務経験は必要ありません。ここでいう「大学」は「大学等」と違い、大学、大学院、短大を指します。専門学校は含まれません。

 

日本の会社との契約が必要

 

「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するためには、一定の業務について、一定の要件を満たす人(学歴や経験)が従事する必要がありますが、「本邦の公私の機関との契約に基づいて」いる必要があります。つまり、日本国内の公共団体や会社、個人事業主との契約に基づいて業務を行う必要があるということです。

 

「契約」というのは、雇用契約が一般的ですが、委任契約や請負契約でも構いません。

 

ただ、一般的に委任契約や請負契約は、比較的契約期間が短いので、その契約期間に応じた短い在留期間しか与えられない可能性があります。

 

また、フリーランスのように短い仕事(契約)を連続して行う場合でも、安定して仕事(契約)が取れるということを立証しなくてはならないので、最初のうちは短い在留期間しかもらえない可能性があります。

 

時給制でもビザは認められますが。。。

 

しばしば「技術・人文知識・国際業務」ビザ・在留資格を取得するには、月給制でなくてはならないといった話を聞きますが、基本的に給与の計算方法については規定がありません。その意味で月給制であろうが、時給制であろうが構わないわけです。

 

しかしながら、時給制の場合は「収入が安定しない」と見なされ、審査時に不利になるかもしれません。

 

そうした意味で、できるだけ月給制の方が良いと思われます。

 

「技術・人文知識・国際業務」ビザ・在留資格を確実に取得する

 

最後に「技術・人文知識・国際業務」ビザ・在留資格のポイントを整理します。

  • 「技術」、「人文知識」については、自然科学又は人文科学の知識や技術と関連のある仕事であること
  • 「国際業務」については、語学に関連する仕事や海外取引、外国人ならではの感性に関連のある仕事であること
  • 「技術」、「人文知識」については、大学等を卒業しているか10年以上の実務経験が必要
  • 「国際業務」については、3年以上の実務経験が必要だが、そのうち通訳、翻訳、語学指導については大学を卒業していれば実務経験は不要
  • 日本の公共団体や会社、個人事業主との契約が必要だが、長い在留期間を得るためには雇用契約がよい
  • 時給制より月給制の方が「収入が安定している」と見られ、有利に働く

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