外国人の雇用11:単純労働での外国人の雇用
代表的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」は、大学等で勉強したことと関連のある仕事をする必要があります。これはざっくり言うとオフィスワークです。また、これとならぶ「技能」ビザについては、業務が特定されていますし、10年以上の経験が求められます。
こうした仕事ではなく、建設労働者やベッドメイキング、ウエイターやウエイトレス、調理補助、コンビニ店員といった単純労働と言われる仕事については、ちょうどいいビザ・在留資格がありません。
しかし、このような仕事ほど人手不足になっているのが現状です。
このような仕事で外国人を雇う場合はどういう選択肢があるでしょうか。
どんな仕事でもできる身分系ビザ・在留資格
身分系ビザ・在留資格については、就労制限がありません。つまり、どんな仕事でもすることができます。労働時間の制限もないので(もちろん労働基準法の範囲内ということになりますが。)、フルタイムの従業員として雇用することもできます。
具体的には「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」といったビザ・在留資格です。
ちなみに「定住者」というのは、日本人の孫(日系3性)とか、日本人や永住者と離婚した人が取得することができるビザ・在留資格のことです。
「特定活動」でも働くことができる
「特定活動」ビザ・在留資格とは、いわば「その他」として分類されるビザ・在留資格なので、同じ「特定活動」でもいろいろあります。
この在留資格でも就労できる場合があります。
たとえば、親と一緒に来日して「家族滞在」ビザで在留していた人でも、中学校2年までに日本に来て、その後日本の中学、高校を卒業して、就職したいと思った時には、「特定活動」ビザ・在留資格を得て就職することができます。
また最近は厳しくなってきていますが、難民申請をして「特定活動」ビザ・在留資格を得た人も、就労許可がもらえる場合があります。
ただし、ほとんどの「特定活動」は就労できませんので、「特定活動」を持つ外国人を雇用する場合は、パスポートに張られた「指定書」で確認する必要があります。
資格外活動許可でアルバイトができる
就労資格を持つ外国人の妻や子は「家族滞在」で在留することができますが、「家族滞在」とか「留学」といったビザ・在留資格の場合、基本的には働くことができません。しかし、資格外活動許可をもらうことで、週に28時間まで働くことができます。
この資格外活動許可で働いている外国人は、相当な人数になっていますが、この「週に28時間まで」の意味が、案外知られていません。どこからどこまでを「週」というのでしょうか? 実は特に決まりがないので、どこで区切っても週なのです。
日曜日から土曜日までも週ですし、火曜日から月曜日までも週なのです。
つまり、任意の7日間のどこで区切っても週なので、どこで区切っても28時間を超えてはならないということになるのです。
技能実習生の受け入れを検討する
「技能実習」とは、日本で技能を身に付けて母国に貢献する実習ですので、本来は労働者としての戦力で期待することはできません。しかしながら、現実は外国人労働者を雇用するためのひとつの方法となってしまっています。私個人としては、外国人労働者の多くの問題は、この制度から生まれていることから、あまりおすすめしたくはないのですが、他に選択肢がない場合はしょうがないのかもしれません。
「技能実習」については、JITCOが管理していますので、詳細についてはJITCOのホームページをご覧ください。
「特定技能」ビザ・在留資格
2018年の秋の臨時国会で入管法が改正され、新たに在留資格「特定技能」が創設されました。「特定技能」はこれまでできなかった単純労働専用のビザ・在留資格になります。「特定技能」については、「特定技能」ビザ・在留資格の基礎知識で解説しています。