「留学」ビザとアルバイト「資格外活動許可申請」
「留学」ビザを保有している人の日本での活動は、日本の教育機関で「教育を受ける活動」とされています。しかしながら、経済的理由で週に28時間以内という制限の中でアルバイト等をすることが認められています。
留学生がアルバイトをするためには資格外活動許可が必要で、そのための手続きを資格外活動許可申請といいます。
資格外活動許可が付与されると在留資格の裏に「資格外活動許可」という印が押されます。
資格外活動許可申請と許可の更新
日本への留学が認められて、母国にある日本大使館からビザが交付されて日本に来た留学生は、早ければ空港で資格外活動許可申請をすることができます。
その場合の申請書はとてもシンプルで、名前と生年月日、国籍ぐらいしか書くことがありません。これを提出すれば、すぐに資格外活動許可が与えられます。
空港でこれをしなかった場合は、入国管理局で申請することになりますが、この場合は少し書く量が多い申請書になりますが、いずれにせよあまり難しい手続きではありません。
資格外活動の期限は、現在持っている「留学」などのビザの期限と一緒になります。そのため、「留学」ビザを更新するときに、一緒に資格外活動許可申請書を提出します。もし忘れてしまった場合は、「留学」ビザの更新が許可されて新しい在留カードが交付された後に改めて資格外活動許可申請をしなくてはなりません。
資格外活動とはアルバイトだけのことではない
資格外活動許可といえば、普通は、アルバイトをする許可だと考えられています。これは間違いではないのですが、できることはアルバイトだけではありません。実は、事業を行うこともできるのです。
入管法第19条では「出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。」とあります。
つまり、学業に支障がない範囲内で事業を行うことができると解釈することができるのです。
そして、「学業に支障のない範囲内」というのは、週に28時間以内ということなのです。
週に28時間以上のアルバイトをすると厳しいペナルティが待っている
資格外活動許可というのは、週に28時間以内のアルバイトや事業を行う活動ですが、週に28時間を超えてしまうと、ビザの更新が許可されないことがあります。
私はしばしば外国人留学生から「ビザが更新できなかったのでなんとかして欲しい」という電話をもらいますが、多くの場合、私にもどうしようもありません。
週28時間はどこで測るのか?
週28時間というのはどこからどこまでを測ればいいのでしょうか? 日曜日から土曜日まででしょうか? それとも月曜日から日曜日まででしょうか? 実際は「任意のどの時点で区切っても、7日間で28時間を超えてはいけない」ということになっています。
しかし、実務上、これは大変です。
入管がそこまで管理することはできません。
実際のところ入管が見ているのは年収だけです。
どのくらいの年収であれば妥当なのか?
これもよく聞かれることですが、これも明確な基準はないようです。もちろん、法律上の基準は「週28時間以内」という明確な基準があるのですが、審査という実務を行う以上、あまり細かく見ていっても、入管の業務が滞ってしまいます。
そいう意味で、年収200万円を超える金額を稼いでいたら厳しく審査されると思っていいと思います。
一週間といえば7日ですから、365日/7日で、1年は約52週間あります。たとえば時給1,000円であれば、1,000円 x 28時間 x 52週 = 1,456,000円 がMAXの年収ということになります。
ただし、留学生の場合、夏休み等の長期休暇では1日8時間まで働くことが認められているので、これプラス数十万円は、範囲内とみなすことができます。
そうすると180万円とか190万円になるかもしれません。
明確な実務上の基準はわかりませんが、私がこれまで見聞きした「留学」ビザの不許可ケースでは、ほぼ年収200万円を超えていました。
このような場合はではまず、どうして200万円を超えているのか、理由を聞かれます。
重要なのは、時給と長期休暇期間での収入です。
実際のところ時給が高いとか、長期休暇が長いとか、あるいはその両方の理由で年収200万円を超えているというのであればそれで構わないのです。
例えば、語学講師のアルバイトなどは、時給2,500円ぐらいになる場合もあるからです。この場合は、アルバイト先から何らかの説明の書類を出してもらう必要があります。
何をしに日本に来ているのか?
アルバイトのし過ぎでビザの更新ができない留学生は、何をしに日本にきているのかと思ってしまいます。
「就労目的です」と言ってしまえば簡単なんですが、高い留学費用を払ってアルバイトをして、そのあげく「留学」ビザが更新できなければ元も子もありません。
また、なんとか「留学」ビザは更新できて、卒業までこぎつけたとしても、アルバイトばかりしている留学生は、学力が足りないことがしばしばです。具体的には日本語能力が大幅に不足しています。
勉強しないでアルバイトばかりしているのですからあたりまえです。
そういう学生に限って、卒業時に「就労ビザが欲しいが就職先がない」と大騒ぎして、周囲を巻き込みます。あらゆる伝手を使って就職先を探そうとするのです。
その挙句、しばしば悪徳業者に大金を払って、とりあえず就労ビザは取ったものの、実際には雇用されないなんてことになります。
きちんと勉強すれば、日本で就職して働くことができる
人手不足の日本では、日本語が堪能で優秀な外国人学生であれば、いくらでも就職することができます。
特に外国人を相手にビジネスをしている会社は、増え続ける外国人旅行客や中長期滞在者を顧客としているので、通訳・翻訳が可能な外国人社員を求めています。
JLPT2級を持っていればたくさん求人があります。
せっかく日本に留学に来ているのですから、アルバイトばかりせずに、せめて日本語だけはしっかり勉強してもらいたいものです。