ネパール人コックの「技能」ビザ
最近、外国人経営のカレー店が非常に増えてきました。インド料理と謳ってはいますが、多くのカレー店はネパール人が経営しています。もちろんインド人が経営するレストランもたくさんありますが、ネパール人が経営するカレー店の方がはるかに多いようです。
ネパール人の経営するカレー店では当然、ネパール人コックが働くことが多いのですが、2-3年前ぐらいから、ネパール人コックの在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)を取ることが難しくなってきています。
ネパール人コックの90%は偽物?
「ネパール人コックの90%は偽物だ!」。しばしばこのような話をネパール人から聞きます。ネパール人の経営者からも聞きますし、私のFacebookにこうした書き込みをされたこともあります。
90%というのは大げさかもしれませんが、私の経験からすると、少なくとも半分以上は偽者か、偽者ではないにせよ「10年以上の経験を要する」という基準に満たないコックがいるようです。
入管はネパールのレストランに電話している
ネパール人コックからビザの申請があると、入管は申請人が働いているレストランに電話して、その申請人が働いているかどうかを確認しています。そして、それと同時に、他にどんなコックがそのレストランで働いているかをヒアリングして、リストを作っているのです。
もし、次の年、そのレストランから他のコックが申請した場合、入管は昨年作ったコックのリストを見て、その申請人が去年いたかどうかを確認します。
コックのビザが不許可になる理由の多くは、このリストに申請人の名前がなかったというものなのです。
昨年ヒアリングした時点で名前のなかったコックが、「この店で10年以上働いていました」という在職証明書を提出するのですから、これは虚偽申請と判断されます。こうなるとリカバリーする方法はほとんどありません。そのコックは二度と日本に来ることはできません。
ネパール人コックの在留資格認定証明書交付申請
ネパール人コックを呼び寄せるときに気を付ける点をいくつか整理します。
PANナンバーを確認する
まずそのレストランが実在するのかどうか、また必要な納税等の届出をしているかどうかについて、入管はPANナンバーで確認しています。PANナンバーというのは納税番号だと思っていいのですが、ネパールでは2008年からこの番号を各企業や事業者に割り振っています。2008年より前に設立された会社については、遡って割り振られています。
入管はこのナンバーを重視していて、もし「このレストランで10年働いた」という申請者がいるとすると、少なくともPAN登録日は10年より前でなくてはならないという理屈になります。いろいろな理由でPANの登録が遅れたという場合であっても、よほどきちんとその理由を説明しないことには、入管は納得しません。
本当にそのレストランで働いていたかを確認する
先ほども述べましたが、不許可理由の多くは、在職証明書に記載されている通りの勤務実績がないとみなされる場合です。入管は申請者の出身レストランには必ず電話をし、同時にコックのリストを作成しています。恐らく、嘘の在職証明書を作っているレストランについては、ブラックリストのようなものに登録されていると思われます。
ネパール人コックの申請をする際には、本人だけでなくそのレストランにも、在職証明書に書かれていることが本当かどうかを確認する必要があります。
さまざまな写真をだしてもらう
申請人がそのレストランで働いていることを証明するために、さまざまな写真を提出してもらいます。お店の前で撮った写真、ホールやキッチンで撮った写真などです。コックの服装ではなく普段着で撮った写真は要注意です。そこで働いていないかもしれません。
ビジネスライセンスのコピーを提示してもらう
お店の登記簿にあたるビジネスラインスをもらえば、そのお店のオーナーの名前が書かれています。在職証明書は、その人の名前とサインがあることが望ましいです。ビジネスライセンスが出せない、あるいは在職証明書の名前が別の人になっている場合も要注意です。
ネパールの日本大使館にはキッチンがあるらしい
これはネパール人クライアントから聞いた話ですが、ネパールの日本大使館にはキッチンがあって、コックの申請者には実際にそのキッチンで料理を作ってもらうということです。そこまでしないといけないほど偽者が多いのかもしれません。