「経営・管理」ビザは、事業計画書が最重要

ワンストップ行政書士事務所が積極的にアピールしているのは、「経営・管理」ビザです。「経営・管理」ビザは、会社の経営者または管理者のためのビザですが、恐らく90%以上が経営者のために利用されていると思います。

 

このビザの要件は、500万円以上出資されている事業であること(または日本人あるいは永住者を2人以上雇用する)、事務所が確保されていることの2点です。

 

基本的にはこれだけなのですが、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」のビザと同様に、形式的に経営者であるだけではだめで(つまり会社の登記簿謄本に「代表取締役」として登記されているだけではだめ)で、本当に経営者であるということが求められます。

 

では、どこで本当に経営者であるかどうかを判断しているのか? ですが。

 

「経営・管理」ビザの申請時は、事業計画書の提出が求められます。もともとある会社であれば、事業計画書は必要ないのですが、これから事業を開始 するのであれば、これは必須の書類となります。言ってみれば、事業計画書の出来次第とも言えます。

 

本気で事業を始めようというのであれば、事業計画書は詳細まで検討されているはずです。逆に、事業をする気はあまりなく、「ともかくビザが欲しい」というだけであれば、事業計画書の中身は薄くなります。

 

事業計画書の中身が薄ければ、入管は「本当は事業をする気はないのではないか」と思う可能性があります。

 

もうひとつ、事業計画書よりもっと重要なのは、その申請人のバックグラウンド(経験や受けた教育など)と事業の関連性です。経験もなく、教育もない人間が、いきなり起業するといっても信用されるでしょうか?

 

たとえばコックがレストランを開業するとか、自動車販売会社で働いていた人が自動車輸出業を行うということであれば、簡単にビザがとれます。

 

そうした観点から、どんな事業計画書を作れば「経営・管理」ビザがとれるのか、考えてみたいと思います。

 

以下、事業計画の中身について検討します。

 

1. 起業の背景

 

どうしてこの事業を起こすのか。これまでの経験とか受けた教育とかと関連付けながら、企業に至った経緯や自分の意図を説明します。実は最も重要なパートかもしれません。今までやってきたことと関連のある事業であれば、誰もが納得します。

 

2. 事業の概要

 

どんな事業なのかを説明します。花屋さんをやるとかレストランをやるとか、わかりやすく説明します。

 

3. 事業の詳細

 

これを考えていない、あるいはきちんと説明してくれない外国人が多くて苦労します。たとえば、商品を販売するビジネスであれば、どんな商品か、誰から仕入れるか、どんな顧客に販売するのか、どのように販売するのか、競合他社との違いは何かといったことを、詳細にかつ具体的に説明する必要があります。

 

4. 自社の強みや競合分析

 

3の「事業の詳細」のところに入れてもいいのですが、独特のビジネスではなく、ありきたりなビジネスの場合、自分が他社に勝てる理由について検討すべきです。ビザが取れるかどうか以上に重要な話です。

 

5. 人事計画

 

意外にも入国管理局は、この部分を見ています。「経営・管理」というビザが経営者である以上、いつまでも一人でやっているような事業は、このビザの趣旨には合わないということでしょう。たとえ最初は一人で始めた事業であっても、事業を拡大し、従業員を雇うプランを示す必要があります。

 

6. 売上構成

 

たとえば「1ヶ月で200万円の売上になります」といった場合、どのような構成で200万円になるのかといった話です。単純に1個10万円の商品しかなければ、これを20個売るということなのですが、多くの場合、いくつかの種類の商品を扱っているので、どんな種類の商品を何個売って、いくら粗利を出すといった典型的なパターンを説明するとわかりやすくなります。

 

7. 収支計画

 

2-3年の収支計画を月単位で作成すればば、入国管理局の覚えもぐっと良くなります。たとえば、3年後、自分の会社はどうなっているのかをイメージし、そこから逆算して収支計画を作ってもいいと思います。むしろ、そうするべきです。

 

「経営・管理」ビザは、ある意味「金で買えるビザ」とも言えますが、多くの外国人が勘違いしているのは、ビザを取ることが目的で、ビジネスがおろそかになっているという点です。よく「ビザが取れる可能性はどれだけあるか?」と聞かれますが、それは「どれだけ真剣にビジネスを考えているのか」によるのです。

 

ビザを取ることが目的ではなく、ビジネスを成功させるためにビザが必要であると考えないと、結局はビザもビジネスも失敗することになるのです。

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