永住申請の際に入管に求められる公的医療保険と公的年金の書類について徹底的に解説します!
2019年7月から永住申請の必要書類に公的年金に関するものが加わりました。公的医療保険については従来から書類を出す必要があったのですが、無年金の「永住者」が生活保護を受給するケースが増えたために、「永住者」になるための条件に年金加入が加わったのだと思われます。
この結果、公的医療保険と公的年金に関する必要書類が複雑化したので、ここで詳細に解説したいと思います。
公的医療保険と公的年金は過去2年間遅れずに納付していなければならない
永住申請をするにあたり、申請人は公的医療保険と公的年金を過去2年間全て納付していなければならないだけでは足りず、納期限に遅れずに納付していることが必要です。
これは極めて厳格に運用されているようで(わずかに例外はあるかもしれませんが)、ちょっとした遅れでも不許可になったというケースも目にします。
世帯全員が公的医療保険と公的年金を過去2年間遅れずに納付していなくてはならない
これも非常に重要です。公的医療保険と公的年金の納付記録は世帯全員のものを提出する必要があります。世帯のうち誰か一人が納付していなかったり、遅れていたりするだけで、永住申請は不許可になる可能性が大きいです。
公的医療保険に関する必要書類
公的医療保険の納付についての必要書類は、保険証のコピーと「被保険者記録照会回答票」、国民健康保険の納付書・領収書のコピーになります。
保険の加入状況によって書類は異なりますので、人によっては保険証のコピーだけで済む場合もありますし、人によってはこの3つ全てを提出しなくてはならない場合があります。これがややこしいところです。
しかもこれは、世帯のメンバーそれぞれについて違う場合があるのです。
申請日2年以上前から社会保険に加入していることが望ましい
通常会社員であれば、その会社が加入している社会保険に加入することになります。永住申請の際に、申請日より2年以上前から加入している社会保険の保険証のコピーが提出できれば、公的医療保険については問題ありません。
ただし、この場合は、世帯全員の保険証のコピーが必要です。世帯全員の保険証が社会保険のもので、2年以上前から加入しているのであれば大丈夫です。
世帯のうち誰かが加入日から2年以上経った保険証がない場合、保険証のコピーだけでは公的医療保険の納付を証明することができないので、その人については、他の書類も合わせて提出する必要があります。つまり、その人は、国民健康保険を加入していた時期があったのか、別の会社の社会保険に加入していた時期があったのかのどちらかになります。
過去の公的医療保険の加入状況は「被保険者記録照会回答票」で見ることができる
過去にどのような公的医療保険に入っていたか(入っているべきか)については、日本年金機構から「被保険者記録照会回答票」という書類を取って調べる必要があります。これは、年金記録を照会するための書類ですが、医療保険と年金は通常ペアになっているので、これを見るとどの時期に社会保険に加入していて、どの時期に国民健康保険に加入しているのかがわかります。
この表で「①お勤め先の名称または共済組合名等」という欄に会社名が書いてある場合、この期間は社会保険に加入していたことになるので、この期間に関してはきちんと公的医療保険料を支払っていたと考えることができます。しかし、この欄に「国民年金」と書かれている期間がある場合で、この期間が申請日から2年以内である場合は、さらに書類が必要になります。
国民健康保険の納付については領収証のコピーを提出する
過去2年間のうち社会保険に加入していない期間については、国民健康保険に加入していたことになるので、この期間については国民健康保険の納付書・領収書のコピーを提出する必要があります。それには、それぞれの納付の「納期限」と、実際に納付した日については金融機関やコンビニなどの日付入りの領収印が押されているので、「納期限」に遅れずに納付したことを確認してコピーを取る必要があります。
公的医療保険の提出書類のまとめ
- 過去2年間全て社会保険だった人:保険証のコピー
- 過去2年間全て国民健康保険だった人:「被保険者記録照会回答票」、国民健康保険の納付書・領収書のコピー(一応、今持っている保険証のコピーも提出したいので、結局は全部ですね。)
- 過去2年間で社会保険と国民健康保険の両方を加入していたり、別の会社から転職していたりした場合:保険証のコピー、「被保険者記録照会回答票」、国民健康保険の納付書・領収書のコピー
公的年金に関する必要書類
公的年金の納付記録は、「ねんきんネット」で印刷できる書類と、日本年金機構の年金事務所でもらえる書類のどちらかを提出します。
「ねんきんネット」で印刷できる書類については、以下のリンクをご覧ください。
年金事務所でもらえる書類
年金事務所でもらえる書類は前述した「被保険者記録照会回答票」と、「被保険者記録照会(納付I)」と「被保険者記録照会(納付II)」の、全部で3種類になります。
「被保険者記録照会回答票」は、期間ごとの年金の種類が書かれています。いつどの年金に加入していたのかについて時系列で記載されています。この書類で過去2年間厚生年金に加入していたことがわかれば、この書類だけで年金の納付について大丈夫です。
「被保険者記録照会回答票」で、過去2年のうちに国民年金に加入していたことが記載されていた場合は、被保険者記録照会(納付I)と被保険者記録照会(納付II)の書類が必要になります。個人的には(納付I)だけでいいのではないかと思うのですが、入管は両方を求めてきます。
「被保険者記録照会(納付I)」には、年金の納付日が記載されています。「収納年月日」という日付を見る必要があるのですが、これだけを見て遅れたのか遅れていないのかはわかりにくいので、この書類をもらったときに年金事務所の人に「過去2年間に納付の遅れがあったかどうか確認して欲しい」とお願いするといいでしょう。
「被保険者記録照会(納付II)」は、各月ごとのステータスが書かれています。ステータスはマークで記載されていて、何がなんだかわからないかもしれませんが、いくつかご紹介します。
「/」:年金未加入
「A」:第一号被保険者
「+」:第三号被保険者
「*」:未納(将来納付する月もこれになっています。)
公的年金の提出書類のまとめ
- 全員:「ねんきんネット」で印刷できる書類(これが出せるのであれば、これだけで大丈夫です。)
- 過去2年間全て厚生年金だった場合:「被保険者記録照会回答票」(転職していてもこれだけで大丈夫。)
- 過去2年間に厚生年金と国民年金の両方を加入していた場合:「被保険者記録照会回答票」、「被保険者記録照会(納付I)」、「被保険者記録照会(納付II)」の全て
保険にせよ年金にせよ、永住申請しない人も含めて提出しなくてはならないので、提出書類は非常に多くて複雑になります。