配偶者ビザのための「質問書」の書き方 -「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」

質問書の書き方

そもそも「質問書」とは何のために存在しているのか

まずは「質問書」を見てください。ここからダウンロードすることができます。日本語以外にも英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、韓国語、タガログ語、ベトナム語、インドネシア語のものがあります。

「質問書」は、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、一部の「定住者」ビザなどについて在留資格変更許可申請や在留資格認定証明書交付申請を行う際に記入して提出することが求められています。

「質問書」の目的はズバリ、偽装結婚を見抜くためだと思っていいでしょう。

入管は過去の経験を元に、偽装結婚する人の特徴を捉えています。その特徴をあぶり出すために「質問書」を作成しています。

逆に言うとその目的をきちんと理解していれば、審査に通りやすい回答を書くことができます(決して偽装結婚の方にアドバイスしているのではありませんよ。)。

入管の意図を逆読みして書く「質問書」の書き方

「質問書」:1ページ目

「質問書」は申請人である外国人と結婚した配偶者が記入します。つまり「日本人の配偶者等」ビザであれば日本人の方、「永住者の配偶者等」ビザであれば永住者の方が作成します。

1ページ目は、配偶者がどういう人であるかを書きます。一見すると事務的な内容に思えますが、いくつか意味のある質問があります。

まず自宅が「自己所有」か「賃貸」かという質問ですが、「自己所有」であれば一定の財産であると見なすことができます。一定の財産を持っている人が亡くなった場合、財産の50%は配偶者が相続できます。それを承知で結婚するわけですから、「自己所有」の方が、申請にはプラスに働きます。特に高齢の日本人が結婚する場合は、財産が多い方が有利になります。

ただし、嘘をつくわけにはいかないので、正直に書きましょう。逆に持ち家であれば、合わせて不動産の登記簿謄本を出してアピールしましょう

また、「LDK」の部分についても、例えばワンルームの部屋だったりすると、本当に結婚生活をおくるのかどうか疑われる原因になりますので、これも意味のある質問です。ワンルームの人は、あらかじめ広い部屋に引っ越しをするといいでしょう。

次に「職場」についての質問ですが、会社の情報や「就職年月日」を書くところがあります。きちんとした会社に長く勤めている方が偽装結婚なんてしないという意図がわかりますね。これについても、アピールするのであれば、在職証明書や会社の登記簿、会社案内、ホームページのコピーなどを合わせて提出するといいでしょう。

「質問書」:2ページ目

初めて会った時の時期と場所についての質問です。時期はもちろん場所についても、できるだけ具体的に書きましょう。具体的というのは、職場であれば会社名、お店であればお店の名前などです。あいまいに書くと、嘘くさく聞こえます。

初めて会ってから結婚するまでのいきさつについては、時系列にできる限り具体的な日付と場所を書きます。そして以下のようなトピックスに関してはできる限り入れたいところです。

  • 最初のデート
  • 旅行に行ったこと
  • 交際することになった日のこと
  • プロポーズした日のこと
  • 親や家族にあいさつした日のこと(ビデオチャットであればその日)
  • 外国人の親が来日した日
  • 日本人の両親が外国人の国を訪問した日
  • 家族や友人に祝福してもらったこと
  • 婚姻届けを出した日を選んだ理由
  • 証人になった人についてやその人にお願いした日

ここについては書ききれなければ別紙でもよいことになっているので、別の紙にパソコンで詳しく書いても構いませんし、書けるのであればできるだけ詳しく書いた方がいいです。

いきさつだけにこだわることなく、いろいろアピールできることがあればここでアピールしてください。日本風に結婚式を挙げたとか、家が大きいとか、大きな会社に長年勤めているとか、そういうこともここでアピールして構いません。

「質問書」:3ページ目

3ページ目の前半は、紹介者についての質問です。ここでは2種類の紹介者が想定されています。

1つは個人の紹介者です。この紹介者は、偽装結婚をしたい外国人から報酬をもらって、結婚相手である日本人を探すというビジネスをしています。私も以前に公園でジョギングしていたところ、年配の中国人女性らしき人から「あなたの友達で結婚したい人いませんか?」と声をかけられました。

もちろん、普通に友人や会社の人から紹介されるケースは問題ありませんので、その場合は紹介者について詳しく書いて、怪しい人からの紹介でないことをきちんと説明しましょう。

もう1つは、個人ではなく結婚紹介所とか出会い系サイトです。結婚紹介所や出会い系サイトで知り合ったこと自体は問題ではなく、偽装結婚を請け負う紹介所や出会い系サイトが問題となります。

このような組織は入管ではブラックリスト化していますので、こうしたところからの紹介は不利になります。しかし、信用のおける結婚紹介所や大手の出会い系サイトでは問題ありません。こういうところの紹介であれば、むしろ、どういう紹介所なのかをきちんと説明すべきでしょう。

ここでいちばんいけないのは、紹介者をはっきり説明せず「昔からの知人」とかで済ますことです。昔からの知人だとしたら、高校(学校名だす。)が同じだったとか、前の職場(会社名出す。)が同じだったとか、しっかり説明し、出せるなら証拠も出しましょう。

3ページ目の後半から4ページ目の前半は、夫婦でコミュニケーションしている言語についての質問です。

「永住者の配偶者等」や「定住者」などで同じ国の人と結婚するのであれば何の問題もない質問ですね。

しかし、出身国と言語が異なるのであれば、どのような言語でどのようにコミュニケーションしているのかについて、できるだけ詳しく書きましょう。

外国人の配偶者が日本語検定に合格していたり、日本人の配偶者が英検やTOEICのハイスコアを持っていたりしているのであれば、そういう試験の合格証書やスコアを提出することもプラスになるでしょう。

お互いにカタコトでもしょうがないです。その場合は筆談しているとか、Google翻訳を使っているとか書いても大丈夫です。ごまかすのがいちばんよくありません。

「質問書」:4ページ目

4ページ目の後半の結婚届の証人については、そのまま書くしかないのですが、日本人に証人になってもらった方がプラスに評価されます。一般的に、日本人は偽装結婚の手伝いをしないからです。

また、多くの方は、婚姻届のコピーを取っていないのですが、できるだけコピーを取っておいて、添付するといいでしょう

「質問書」:5ページ目

5ページ目の5は、結婚式を挙げた場合はそのことを書きます。普通、偽装結婚では結婚式を挙げないので、こういう質問があります。結婚式を挙げた場合は必ずそのことを書いて、写真とか領収書とかも出しましょう。

結婚式を挙げていないにもかかわらず挙げたふりをしてはだめですよ。あとで証拠を出しなさいと言われたときに困るので。

6は、結婚歴です。外国人の配偶者については、日本に住むビザを確保するために繰り返し結婚する人もいますので、このような質問があります。

一方、偽装結婚する日本人の中にはこれをビジネスのように繰り返す人がいます。そういう人かどうかを確認するための質問です。外国人との結婚が多い人は不利になりますが、嘘をついてはいけません。

7と8は、外国人の方が海外に住んでいるケースを想定しての質問ですね。日本と海外に分かれた状態で交際期間を過ごし、婚姻期間を過ごしている2人がどれだけ頻繁に会っているのかを確認するための質問ですね。

もちろん頻繁に会っていた方が有利なことは言うまでもありませんので、できるだけ相手の母国をお互いに訪問しましょう。特に、結婚の手続きは、それぞれの国で2人で行うといいです。結婚届の日は、その国に2人でいるような記録があると最高です。

「質問書」:6ページ目

6ページ目の9と10は、申請人(外国人)が過去に出国命令や退去強制を受けたことがあるかという質問です。もちろん、そうしたことがない方がいいのですが、ここは正直に書きましょう。

出国命令を受けた場合は1年、退去強制の場合は5年(オーバーステイなら)経てば、日本に入国することができます。嘘を書いてもほぼ確実に見抜かれます。

1年以上の懲役刑を受けた場合は、無期限の上陸拒否事由になります。

5年とか無期限の上陸拒否があったとして、その上陸拒否期間よりも早く日本に来てもらいたい場合は、上陸特別許可という手続きになります。

「質問書」:7ページ目

7ページ目の11は、夫婦の家族についての質問です。ここでは住所や電話番号を書くように指示されています。このビザの申請で、入管が家族に電話することはめったにありませんが、全くないとも言えません。「必要に応じて家族に問い合わせをしますよ」というプレッシャーはありますね。

ここについても、正直に書くほかありません。

「質問書」:8ページ目

8ページ目の上は、夫婦の子供についての質問です。夫婦に子供がいる場合もありますが、前妻、前夫との子供についてもここに書きます。

例えば、外国に住んでいる外国人妻(夫)に子供がいる場合、その子供をどうするつもりなのかについてもあらかじめ説明した方がいいでしょう。小さなこどもの場合は、一緒に在留資格認定証明書交付申請をしてもおかしくありません。むしろ、しない方が不自然ですし、後で申請した方が大変な場合もあります(あくまでも小さな子供の場合ですよ。)。

12は、夫婦の家族で、この結婚について知っているのは誰ですか? という質問です。当然、全員知っている方がプラスになりますね。

親がずっと以前に亡くなっていて、親戚に育ててもらったなんていう人は、その親戚についても説明した方がいい場合もあります。

アピールできることは、遠慮なくアピールしましょう。

「質問書」についてのまとめ

「質問書」は偽装結婚を見抜くためのツールではありますが、申請サイドからすると真正の婚姻であるというアピールをするためのツールであるとも言えます。

したがって、自分にとって有利であると思われる質問については大いにアピールし、できる限り証拠も提出しましょう。

このことを意識していれば「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」も決して難しいビザではありません。