就労ビザの更新であってさえも、労働保険、社会保険、年金が厳しく審査されるようになってきた
新型コロナウィルスの影響により多くの外国人労働者が仕事を失いました。それら外国人の多くは、適切な労働管理がなされず、会社から放り出されるような形でで解雇され、その結果、不法滞在したり不本意にも帰国に至ったりしているようです。
そこで入出国在留管理庁では、企業の労務管理能力を厳しく審査するようになってきたようで、場合によっては長年働いていた会社でビザの更新ができなくなるといった事態さえ起きています。
ビザの更新ができなくなってきた
就労ビザの在留期間更新許可申請をしたときに、入管から「資料提出通知書」というのが送られてきます。ここで追加書類の提出が求められるのですが、これで、賃金台帳や出勤簿といった法定書類や、労働保険や社会保険、年金の加入状況に関する書類の提出が求められるようになってきました。
賃金台帳や出勤簿については、まずこれらの法定書類を正しく作成し保存しているかどうかを見ているとともに、特に賃金台帳では、労働保険や社会保険、年金などの控除がされているかどうかを見ています。
これらの書類が提出できなかった場合あるいは提出しても内容に大きな瑕疵があった場合、在留期間の更新ができなくなる場合が増えてきました。
入管のスタンスが変わったようだ
これまで入管は、「労務管理や福利厚生がしっかりしていなくても、それは労働者には罪がない」という立場で、在留期間の更新は認めていました。ところが、労務管理について決定権のない外国人労働者のビザの更新ができないという事象が起きているのです
これは明らかに入管のスタンスの変化であると思われます。
このことは、次第に効果を表すと私は思っています。
これまで多くの外国人オーナーの会社では、適切な労務管理が行われてきませんでした。言ってしまえば多くの外国人オーナーは、労働基準法や労働保険、社会保険、年金といった法律や制度に無知であり、無頓着であり、おざなりにしていました。
これでも不自由はなかったからです。
しかし今後は、従業員のビザのみならず、自分のビザにもリスクが生じるようになるため、よりしっかりとして労務管理に取り組まざるを得ない状況になってきたのです。
恐らく今後は、社会保険の加入率が向上することは間違いないでしょう。