難しくなった子供の「家族滞在」ビザを確実に取るための完全アドバイス

家族滞在

子供の「家族滞在」ビザはどんどん難しくなっている

「家族滞在」ビザは、就労ビザを持っている外国人の配偶者(妻や夫)と子供のための在留資格です。いくら家族でも、親や兄弟姉妹は「家族滞在」ビザをもらうことはできません。

また、「家族滞在」ビザの目的は就労ビザを持っている外国人の扶養を受けて滞在するためのビザとなるので、既に成人しているとか、成人はしていないものの、アルバイト目的だと思われる場合もこのビザを取得することはできません。

配偶者にとってはあまり難しいビザではないのですが、子供たちについては、17歳後半以降は原則的にこのビザは出ていないようです。「原則的」というからには例外もありますので、それについても説明していきたいと思います。

さらに、17歳後半より下の年齢でも、中学校卒業ぐらいの年齢でも難しい場合が多いです。

この記事ではどのようなケースが難しいのかを説明するとともに、きちんと準備して確実に「家族滞在」ビザが取れる方法について説明したいと思います。

「家族滞在」ビザを確実に取得するためのいくつかのヒント

「家族滞在」ビザはいつ申請するのか?

これはよく勘違いされていて、就労ビザが日本に来て数ヶ月経って、何か月か給料をもらってから申請すべきだと言われることがあります。しかし、必ずしもそうではありません。もちろん会社によって違うのですが、社歴が長く実績のある会社であれば、扶養者の就労ビザと家族の「家族滞在」ビザを一緒に在留資格認定証明書交付申請をしても構いません

従業員の「家族滞在」ビザは会社の代表者や従業員が申請することができます。

これは多少極端に聞こえるかもしれないですが、「家族滞在」ビザは扶養を受けるビザなので、すぐに申請しても全く問題ありません。私もこれまで何度も申請していますが、海外から日本に来てすぐ、あるいは学生が就労ビザに変わった場合でも、就職して就労ビザに変わってすぐに申請しても「家族滞在」ビザは出ています。

もし、すぐに「家族滞在」ビザが出ないとしたら、それは就労ビザに変わってすぐという理由だけでなく、収入や安定性などについて十分に立証できる資料が出ていない可能性があります

逆に何年も「家族滞在」ビザを申請しない方が許可されにくい

家族によっていろいろ都合があるとは思いますが、扶養者が就労ビザをとってから何年も「家族滞在」ビザを申請しない人がいます。この場合、数年してから「家族滞在」ビザを申請しても許可が出ない可能性があります。

これまで何年も日本に来なかった、扶養を受けなかったわけですから、今さらいきなり日本に来て扶養を受けるということについてはきちんと理由を説明しないといけません。このあたりの経緯や理由について、しっかり説明する必要があります。

収入はいくら必要か?

これについてきちんとガイドラインがあるわけではないのですが、稀に、収入が少ないという理由で不許可になっているケースを見かけます。

配偶者1人を呼び寄せる場合の月給の目安として、18万円ぐらいがギリギリの線でしょうか。もちろん、審査官とか申請する入出国在留管理庁によって異なるかもしれませんが、18万円を下回ったら即座に不許可ということでもないと思います。配偶者1人ぐらいなら大丈夫かもしれません。

配偶者と子供が「家族滞在」ビザを取得するための月給としては20万円がひとつの目安です。

さて、この18万円とか20万円を下回っている場合は、他に加算できる収入がないか考える必要があります。外国人を雇用している会社は、外国人が日本に来たその日から住む場所に困らないように住居を提供しているところが少なくありません。この場合、会社が家賃を負担していれば、家賃分を収入を加算することができます。会社が契約している不動産賃貸契約書の住所が、扶養者の住所と同じであれば、これを立証資料として提出します。

また、会社によっては、家族を呼び寄せるのであれば給料を増額してくれる場合があります。その場合はそれを証明する資料(フリーフォーマットの手紙でもOK)を会社に作ってもらい、提出します。

まずは配偶者だけ来日して就職先を見つけてから子供の「家族滞在」ビザを申請する

月給が20万円を下回っている場合は、まず配偶者だけ「家族滞在」ビザを取得して、アルバイト先を見つけてから子供たちを呼び寄せるという方法もあります。これは、よくやられている方法です。本来の扶養を受けるという主旨とは若干異なりますが、家族一緒に住むというのは日本の民法の定めでもありますので、夫婦合わせて一定の収入が確保できるのであれば、子供のビザ取得は問題ありません。

子供が多い場合はいろいろと注意が必要

日本は少子化が問題となるぐらいですから、子供の人数と言ってもだいたいは1人から3人といった程度です。しかし、外国人の場合、5人以上子供がいることも少なくありませんし、今の配偶者だけでなく前の配偶者との間の子供もいます。

このように子供がたくさんいる場合は、あらかじめ慎重に準備を進める必要があります。

あらかじめ子供たちのリストや家族証明書(Family Certificate)を提出する

子供がたくさんいても、日本に呼び寄せるのは、そのうち1人、2人というケースがあります。このような場合、全部で何人の子供たちがいるのかについてを説明するために、子供のリスト、あるいは家族証明書(Family Certificate)を提出したいところです。

入管がいちばん嫌がるのは、子供の人数がどんどん増えることです。国によっては出生届のルールがあいまいであったり、場合によっては義務化されていないところもあります。そのような国の場合、本当の子供であるかどうか判断するのが難しくなります。

「家族滞在」ビザは、子供のためのビザなので、本当の子供かどうか判断ができない場合は、ビザは不許可になります。

子供がたくさんいて、少人数ずつ呼び寄せる場合は、子供の氏名、性別、生年月日を書いたリストとともに、どうして今回1人か2人だけを呼び寄せるのか、他の子供たちはどのように生活し、将来日本に呼び寄せる可能性があるのかどうかについてきちんと理由書を付けて説明する必要があります。

こうすることで、後々、他の子供たちを呼び寄せるときに、スムーズに許可が出る可能性が高まります。

後から呼び寄せる子供たちのための「理由書」の書き方

後から追加で呼び寄せる子供たちの「家族滞在」ビザを申請するときの「理由書」の書き方にもコツがあります。

まずは現在の生活状況を説明します。誰と暮らしていて何をしているのか(母方の祖母と暮らしていて中学校に通っているとか)、生活費はどうしているのか(日本から送金していることが望ましく、その送金記録を立証資料として提出したい)といったことを説明します。

次に、どうして今回日本に来ることになったのかについて説明しますが、「中学校を卒業したから」といった理由を書くとアルバイト目的で日本に来るのではないかと考えられ、不許可になる場合が多いです。「一緒に暮らしていた祖母が亡くなった」とか「病気がちになったので親と暮らす必要がある」などの理由が必要な場合もあります(子供の年齢にもよります。)。

最後に、日本に来て何をするのかについて説明します。中学生以下でなおかつ親が日本に来てから1年ぐらいであれば「日本で扶養を受けるため」という程度でも構いませんが、中学校を卒業していてなおかつ親が日本に来て3-4年経っている場合はしっかりした理由が必要です。日本で進学する場合、進学先を決めて、ある程度手続きが進んでいることを立証する必要があります。

中学校卒業以上の子供のために「家族滞在」ビザを申請する

中学校を卒業した子供が「家族滞在」ビザを申請しても不許可になる可能性が高いです。しかし、以下のような条件を満たせばプラスポイントになります。

  • 扶養者が就労ビザを取ってからあまり時間が経っていない(1年以内とか)
  • 来日後の活動がある程度具体的に決まっている(進学するなど)
  • 母国で生活できない事情が生じた(一緒に住んでいた家族が亡くなったなど)
  • 病気やケガなど

逆にマイナスに評価されるものもあります。先に「家族滞在」ビザを取得した兄や姉が、実際のところ日本には住まず、母国に通学しているような場合です。こういう人も少なくありません。

日本で進学するときに準備すること

子供に「家族滞在」ビザを取得させて日本の学校に進学させたいと考えた場合ですが、中学校まで(義務教育)であれば、それほど準備しなくてもいいのですが(「家族滞在」ビザではなく「定住者」ビザなどの場合は準備が必要)、高校生ぐらいになると、あらかじめ学校を決めるなどの準備が必要です。

いずれにせよ、ある程度学校を決めておく必要があります。私立高校やインターナショナルスクールであればある程度入学可能な学校があるかもしれないので、あらかじめ入学可能性について相談する必要がありますし、事前に手続きを進めておく必要もあるかもしれません。

公立高校の場合は難易度が高いので、あらかじめ都道府県にごとに外国人の学生についてどのような対応が可能か、試験はいつあるのか、試験の言語は何かなどを調べたり、相談する必要があります。

都道府県ごとに相談したら必ず職員の名刺などの証拠をもらっておきます。

都道府県の公立高校に進学するためには、「進学試験がxxxにあるので、その1年前には来日させて日本語を含めて準備したい」等の「理由書」を提出したいところです。また、アルバイト目的でなく本気で日本で進学するのであれば、日本語を勉強してる証拠なども提出したいところです。

「留学」ビザも検討する

どうしても「家族滞在」ビザが取得できない場合、「留学」ビザを検討することもひとつの方法です。中学までは「家族滞在」ビザは難しくないので、高校生以上の場合ですね。

この場合は入学する高校が決まっていて、入学手続きを終えていて、入学許可が出ていることが条件ですので難易度は高いのですが、ひとつの候補として検討してみてはいかがでしょうか。

また、子供ではなく、甥っ子や姪っ子、年の離れた弟や妹を日本で扶養して学校に行かせたい場合は、「留学」ビザを検討すべきでしょう。この場合は、自分が保証人や扶養者になる理由、日本で就学しなくてはならない理由をきちんと説明し、学費や滞在費について誰が責任を持つのか、責任を持っている人にそれだけの財産や収入があることを立証する必要があります。

早くから日本で就学することのメリット

外国人の中には、子供に「家族滞在」ビザを取らせるものの、教育の都合や生活費の都合から、実際には子供を日本に住まわせないで、母国の両親などのもとで母国の学校に通っている人がいます。

将来にわたって日本に来るつもりがないのであればいいのですが、そうした子供たちのうちのかなりの割合で、母国で中学や高校を卒業してから日本に住む人がいます。

その後日本で「家族滞在」ビザに資格外活動許可を得てアルバイトをするのです。

将来的に親が「永住者」になるなどすれば子供も「永住者」になることができるのですが、親が「永住者」になれなかったり、帰国することになったりすると、子供は何歳になっても「家族滞在」ビザのままであったり、帰国しなくてはならなくなったりします。

まずは親は子供の将来についてしっかりと考えてあげる必要があります。

日本で就学した際に子供がもらえるビザ

子供が日本で就学して高校を卒業した後にもらえるビザが2種類あります。

「定住者」ビザ

子供が小学校3年生までに日本の小学校(インターナショナルスクールでもOK)に入学し、小学校4年生から高校3年生まで9年以上就学した場合、高校を卒業してから「定住者」ビザに変更することができます。

「定住者」ビザで日本に5年以上住んでいた場合は「永住者」が取得できる可能性があります。

「特定活動」ビザ

子供が中学校2年生までに日本の中学校(インターナショナルスクールでもOK)に入学し、中学校3年生から高校3年生までの4年以上就学した場合、高校を卒業してから、親と同居することを条件に「特定活動」ビザに変更することができ、風俗を除く仕事をすることができます

子供の「家族滞在」ビザの必要書類

  1. 申請書(在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書)
  2. 顔写真 H4cm x 3cm
  3. パスポートのコピー(在留資格認定証明書交付申請の場合)
  4. パスポート 提示(在留資格変更許可申請の場合)
  5. 在留カード 提示(在留資格変更許可申請の場合)
  6. 子供の出生証明書
  7. 家族証明書(必要に応じて)
  8. 理由書(必要に応じて子供のリスト)
  9. 親の在職証明書
  10. 親の収入を証明するもの(来日間もない場合は在職証明書に書いたり、会社から他の証明書を出してもらう)
  11. 納税証明書(来日して時間が経っていて納税義務がある場合)
  12. 各種立証資料(必要に応じて)

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Posted by MURASUGI HIROKI