「経営・管理」ビザでインドカレー店やレストランの経営がお勧めできないシンプルな理由
私の顧客にはインドやパキスタン、ネパールといったインド周辺国が多い関係で、しばしばこういった国の方から「カレー店で『経営・管理』ビザを申請したい。」といった相談を受けます。
しかし基本的に、私はカレー店の経営はお勧めしていません。理由はいたってシンプルで、儲からないからです。
「インド人だからカレー店をやれば比較的容易にビジネスができる」というのは明らかに安易な発想で、逆に廃業する人もかなりの数に上っています。
そもそも日本にそれほどインドカレーのニーズはないのではないか
「カレーは日本の国民食」とはしばしば言われる言葉なので、日本人はカレーに相当のお金を払うのではないかと思うかもしれませんが、日本人の食べるカレーのほとんどは「おうちカレー」です。わざわざ外でカレーを食べるとしても、せいぜい週に1回か、それ以下ではないでしょうか?
その証拠に、大手カレーチェーンはカレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)のみで、あとは中規模以下か、個人経営のカレー店ぐらいです。また、定食屋や牛丼屋でもカレーは出していますが、メインではなく、品ぞろえのひとつになっています。
ほぼ100%カレーを食べているインド人には理解できないかもしれませんが、日本人はおうちでカレーを食べて、なおかつ外食もカレーというのは非常に限られているのです。
そういった意味で、カレー店で大きな売り上げを上げるというのは、基本的には(あくまでも基本的であり、例外はある)、無理なのです。実際に、私のクライアントのほとんどは月商100万円以下であり、多くは50-70万円、年商1000万円以下です。
単純計算しただけで「経営・管理」ビザでレストラン経営できないことがわかる
「経営・管理」ビザは経営者のためのビザなので、レストランの調理や配膳といった仕事をすることはできません。日本の就労ビザでは、オーナーシェフというのは成り立たないのです。したがって、調理師やウエイターは、他に雇わなくてはなりません。
その前提で、1カ月あがりの収益計算をしてみます。
売上:100万円
経費:
人件費 調理師2人、ウエイター1人 x 20万円 = 60万円
仕入 20万円(原価率20%として。30%なら30万円)
家賃 15万円
高熱水道費 5万円
その他の経費(通信費、広告宣伝費、消耗品費など) 10万円
経費合計:110万円
この時点で既に10万円の赤字ですね。しかも、自分の給料も出せません。
外国人がレストラン経営で利益をあげるには?
それでもレストラン経営を続けている外国人がいるので、その理由を考えてみたいと思います。いちばん多いのは、元コックだった人が「経営・管理」ビザを取って経営し、従業員は全て家族だというケースです。このケースでは、経営者がコックを続けていることが多く、違法行為と言えます。
したがって、もしきちんと利益を出したいのであれば、元コックだった外国人が永住権を取り、その資格でレストランを経営するのであれば、一定の利益を上げることができます。
またインドやパキスタン、バングラデシュといった国の経営者の場合、宗教的な理由でお酒を出さないお店が多いです。残念ながら、日本ではお酒を出さないお店は苦戦すること間違いありません。お酒そのものの売上が大きいということもありますが、それ以上に、お酒を飲みたい人が1人でもいる家族やグループには、そのお店は選ばれないからです。
日本人の経営する飲食店同様、昼のランチだけでなく、夜の宴会メニューなどを充実させ、きちんと宴会の予約を取る工夫と、広告宣伝が必要です。