「特定技能」国内の技能試験の受験資格拡大 令和2年4月1日から
国内で実施される技能試験は基本的に誰でも受験可能となった
2019年4月から開始された在留資格「特定技能」については、政府の当初の目論見とは大きく異なり、あまり浸透していません。その理由の1つが、技能試験の実施の遅れです。
在留資格「特定技能」を得るためには、日本語能力試験と技能試験に合格し、その技能試験に関連した業務に就く必要があるのですが、そもそも試験が行われないことには「特定技能」が進むわけがありません。
一方、これまでは受験資格に一定の制限があったために、よりニーズが多い層の人たちが受験できないという問題がありました。特に、日本で難民申請をしている人、技能実習で働いている人、あるいは海外に住んでいる人で日本で働きたいと考えている人たちです。
令和2年3月31年まで国内受験資格が認められない人
- 中長期在留者でなく,かつ,過去に日本に中長期在留者として在留した経験がない方
- 退学・除籍留学生
- 失踪した技能実習生
- 「特定活動(難民申請)」の在留資格を有する方
- 技能実習等,当該活動を実施するに当たっての計画の作成が求められる在留資格で現に在留中の方
令和2年4月1日以降に国内で実施される技能試験の受験資格
在留資格のある外国人(つまり不法残留者等以外全員)
これにより、これまで受験資格がないとされていた人たちでも合法的に日本にいる人は全て受験できるということになりました。
また、この在留資格には短期滞在も含まれることから、理論的には受験のために来日した人も受験できることになったわけで、これから技能試験受験ツアーのようなものも始まるかもしれません。
難民申請中の人が簡単にビザの変更ができるというわけではない
このニュースが広まっていちばんザワついたのは、難民申請中で「特定活動」ビザを持っている人たちです。
ここ数年、難民申請中の人は、他の就労資格に変更できなくなっています。この人たちはいつ就労許可が出なくなったりとか、在留資格の期間が短くなったりとか、難民申請が不許可になって「特定活動」ビザを失ったりとか、随分と不利益を被ってきました。
ここへきて「特定技能」ビザへの変更の可能性が見えてきたのですから、ザワつかないわけにはいきません。
しかし、試験にパスしたからといって即座に「特定技能」ビザがもらえるわけではないのです。
試験に合格したら、次に特定技能外国人を雇用する会社に雇用されて、次に、ビザの変更申請をしなくてはなりません。
この2つのプロセスが問題で、まずは特定技能外国人を雇用する会社がまだまだ少ないという問題があります。特定技能外国人を雇用するためには、規定の体制を整え、その上で膨大な申請書類を提出する必要があります。また「日本人と同等以上」の給与が必要なのでその他のコストを考えると、随分と高コストになtってしまいます。
また、仮にこのような会社に雇用されたとしても、難民申請中の人は、難民申請をした背景、プロセス、理由も審査されますので、「アルバイトのし過ぎで留学ビザが更新できなかった」とか「就労ビザが更新できなかったから」とか「学費を払いたくなかったから」とかの理由で難民申請した人は、「特定技能」への変更が許可されない可能性が高いです。
どのように受験勉強をするのかが問題
受験資格が拡大したのは歓迎すべきことですが、受験する外国人からすると、どのように受験勉強をすればいいのか悩ましいところです。
技能試験によってはテキストがあったり、なかったりするので、勉強しやすい業界ほど受験生が集まりそうです。